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語り合おう。ひと、まち、お寺。

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寺子屋學シンポジウム 寺子屋學シンポジウム2018秋 開催レポート (第1部)

10月15日(月)に開催された、「寺子屋学シンポジウム2018秋」。

今回の寺子屋学シンポジウムのテーマは、「地域の健康に貢献するお寺」。僧侶の方だけでなく、医療や介護に携わる方、様々な健康指導をされている方などが集い、お寺から提供できる心と体の健康について様々な角度から発言し合い理解を深めました。

世界一の長寿国といわれる日本ですが、平均寿命と、健康寿命の間には、大きな隔たりがあるのが実情です。その差は日本の場合、男性で9.13年、女性で12.68年と言われます。この現実は、当事者である本人もちろん、家族や周辺の方にとっても、社会にとっても非常に辛いものです。
では、どうやったら、健康寿命を延ばすことができるのか? その鍵は、遺伝でも、運でもなく、「良い生活習慣」にあることが明らかになっています。ここに注目し、健康寿命を延ばすための取り組みの場として、お寺になにができるのかを考えてみようというのが、今回の趣旨でした。
お寺に期待されていること、お寺だからこそできることを、従来の枠にとらわれない、多様な立場からお話しいただくシンポジウムです。

語り合おう。ひと、まち、お寺。
お寺だからこそ、できることがある。

このフレーズを合い言葉に、シンポジウムがスタートしました!

「寺子屋学シンポジウム2018秋」
2018年10月15日(月)
東京都港区 パナソニック汐留ビル 5Fホール

【目次】

第1部 語り合おう。ひと、まち、お寺。

 ◉寺子屋學とは?

 ◉Pick up!社会に求められるお寺
  テーマ①お寺による”まちづくり活動”
     − 飯島俊哲(海禅寺 副住職)

  テーマ②シングルファミリー支援”ぼっちぼっちフェス”
     − 西田真弓(一般社団法人ハートフルファミリー理事)

  テーマ③お坊さん講師による健康指導
     − 石元良樹(ミズノ株式会社)

第2部 特集「地域の健康に貢献する寺」
 
 講演①:人生100年時代に必要な医療
     − 渡邊昌(元国立がんセンター疫学部長)
 
 講演②:診療から見えてきたお寺だからこそできること〜「心と体の健康塾」の可能性〜
     − 川野泰周(精神科・心療内科医、僧侶)
 
 座談会:お寺から提供できる健康を考える
  ・井上広法(セミナー講師、光琳寺 副住職)
  ・倉島隆行(全日本仏教青年会理事長、四天王寺 住職)
  ・川野泰周(精神科・心療内科医、林香寺 住職)
  ・大來尚順(翻訳家、超勝寺 副住職)
  ・松村和順(一般社団法人寺子屋ブッダ代表理事)

第3部 人の集うお寺を設備から考える

 テーマ①防災対策 漏電による火災からお寺を守る
    − 加藤康克(広瀬電工株式会社)

 テーマ②魅力度向上 LED照明による御宝前の魅力化
    − 吉塚奈月(パナソニック株式会社)

 パナソニック展示ルーム見学会

2018.11.05 MON 15:06
PROFILE

増山かおり(ますやまかおり)

ライター

1984年青森県生まれ、東京育ち。株式会社髙島屋での勤務を経て、フリーライターに。みうらじゅん氏、さくらももこ氏、杉作J太郎氏、人間椅子(バンド)などの影響で、ゆったり楽しく生きる方法や、仏教について考え始める。著書『東京のちいさなアンティークさんぽ レトロ雑貨と喫茶店』(エクスナレッジ)等。Twitter: https://twitter.com/ishikaki28

第1部 語り合おう。ひと、まち、お寺。

まず、寺子屋學シンポジウムの開催に先立ち、主催団体である寺子屋ブッダ代表理事・松村和順氏から、趣旨説明が行われました。

松村氏は「寺子屋學は、お寺のあり方を語り合って、そのあり方を実現していくための具体的な手段を学ぶ実学の場でありたい。理想論だけだとやっぱり事は運びません。モデルケースを作ってシェアしたり、具体的な解決策を提示していくことが必要です。

人生100年時代、健康であることはとても大きな社会貢献です。そういう時代に、集落ごとにあると言っても過言でないお寺から健康寿命延伸のための『良い生活習慣』を提供していくことは非常に社会にとってもお寺にとっても意義あることだと思っています。

今回のテーマは『地域の健康に貢献するお寺』ですが、具体的にどうしたら地域の健康に貢献していけるかを語り合い、形にしていけるものはすぐに形にしていきたいと考えています。

そして、もう一つ大事なポイントは、市民とお寺の協働が大切ということです。市民がお寺に期待を寄せるだけではなかなか事が進んでいかない。ならば、市民がお寺と一緒に楽しみながら、様々な課題に取り組んでいけたらと考えています。市民と僧侶が手を取り合って、真に市民のためになるお寺を盛り立てていければ、お寺の存在価値が無くなるなんてことはないはずです。」
と、この寺子屋學シンポジウムにかける思いを語りました。
今回を皮切りに、寺子屋學シンポジウムの開催を重ね、様々な知恵を集積し、シェアし、参加者同士のつながりも作ってゆく予定です。

続いて、「Pick up!社会に求められるお寺」と題して、お寺を舞台にした注目事例が紹介されました。

テーマ① お寺による”まちづくり活動”

まず紹介されたのは、長野県上田市海禅寺副住職であり、 認定NPO新田の風理事を務める、飯島俊哲さんの事例です。海禅寺さんの運営する芙蓉保育園で、袈裟を脱ぎ、ジーパン姿で子供達と触れ合う毎日を過ごされているという飯島さん、今回取りあげる事例は、2018年5月の開催で7年目を迎えたという「聖天(しょうてん)祭」です。海禅寺さんでは、長らく閉じていた「聖天堂」が、大施主の方や檀信徒のみなさんの協力を得て平成21年に建て直されたものの、十分に活用されていないという状況にありました。いろいろな方の思いが詰まっている聖天堂をこのままにしていてはいけない、という思いから始まったのが、「聖天祭」です。

このお堂で祀られているのは、「聖天さん」と呼ばれ親しまれる大聖歓喜天。十一面観音とヒンズー教の神・ガネーシャが夫婦になっている密教独特の仏様で、女性的なものと男性的なものが合体した仏様として、2つのものを結びつけるご利益でも知られるのだそう。ここを由来に、人と人とのご縁をつなぎ、今までお寺に来なかった方が縁を温める場づくりがスタートしました。

お祭りを発足させるにあたり、飯島さんが念頭に置いていたのは、檀家のみなさんを巻き込み、一緒に取り組むこと。他のお寺で、「若い和尚が若い仲間と勝手になにか始めたぞ」という批判を耳にしていた飯島さんは、まず世話人会のみなさんに声をかけ、檀家さんを中心に実行委員会を組織したのだそうです。来場された僧侶のみなさんの中にも、新しいことを始めるにあたり、同じ悩みを持った経験のある方は多いのではないでしょうか。新しい行事を立ち上げた当事者ならではの実感がこもったお話に、参加者の僧侶のみなさんの耳がぐっと惹き付けられているのを感じました。

この聖天祭には、多くの子育て世代や若い世代が集まり、手を合わせる姿が見られたといいます。また、初回はなんとか顔見知りに頼み込んで33店舗出展した「まんだらマーケット」も、口コミで広がり今では56店舗に至っているといいます。お寺が全てを引っ張るのではなく、まいた種からイベントが育って行ったという、理想的な事例といえるのではないでしょうか。

飯島さん「大切にしているのは、単にお寺に人が来ればいいというお寺のためのPRのイベントにならないようにすること。この1日で、お寺と仏教の価値に出会い直していただきたい。だからこそ、お寺でやる意味があると考えています」

このお祭りを機に、お今までお寺に見えなかった方々が、日常の小さい困りごとの相談で訪れたり、仏前結婚式を希望するカップルも現れたと飯島さんは話します。新たに立ち上げたお祭りが、檀家とも違う、新たな「海禅寺ファン」ともいうべき方々を生んだのです。
 また、NPO法人「新田の風」での活動では、安心して老いを迎えられるまちづくりにも取り組まれています。お薬手帳サイズのエンディングノートを薬局で配布するなどして、安らかな看取りを迎えるためのケアに取り組むほか、「海禅寺サロン」では健康をテーマにした講義や語らいの場を設けているそうです。

「お寺は、可能性のある場所だから ご縁という鍬で耕していきたい」

飯島さんのこのメッセージは、若い世代とのご縁をつなぐこと、そして人生の終末期をより安心して迎えることへの取り組みを象徴しています。聖天祭は、沈殿したものを活性化させる「かきまぜ棒」のようなものではないかと話す飯島さん。檀家のみなさんや地域住民の方々とともに作るお寺を考えるうえで、非常に肩の荷が下りるメッセージではないでしょうか。

参考記事
連載:地域とともにいきるお寺のイベント術(飯島俊哲)

テーマ② シングルファミリー支援”ぼっちぼっちフェス”

続いては、一般社団法人ハートフルファミリー理事、西田真弓さんの取り組みを紹介します。

西田さんは、ひとり親家庭の親御さんが元気に前に向かって進んでいくことをサポートする活動をされています。シングルファミリー応援情報サイト「ハートフルバンク」も、その一つ。西田さん自身がシングルマザーになったとき、情報が散乱していてどこで何を調べればいいかわからなかったという実体験から、シングルファミリーに必要な情報を一カ所に集めたサイトを立ち上げました。行政のどの場所でどのような支援が受けられるのかといった情報のほか、24時間対応のホットライン、物資提供などのコンテンツが盛り込まれています。

同時に、お寺という場を活かした支援にも、この1年で取り組み始めたのだそう。それが「ぼっちぼっちフェス」です。
「昔から同じ場所にあり続け、出入りが自由な場所。そんなお寺は、昔は見守りの場所や子供たちの居場所だったのではないでしょうか」と西田さんは話します。そんな場所に集まって楽しい時間を過ごし、気づきがあったり、応援活動の和が広がる場所になればという思いが、このフェスに込められているのだそう。

西田さん「シングルの人で集まってなにかをしようと呼びかけても、喜んで手を挙げるかというとそうではありません。大変だということをなるべく見せずに毎日を過ごしたいという人も多いんです」

では、どうやったら人が集まるのでしょうか? そこで西田さんにヒントをくれたのが「駄菓子屋」でした。遅刻した子供たちや下校途中の子どもたちが寄って駄菓子屋のおばちゃんと話したりするような、現在では失われつつある地域コミュニケーションの姿を、西田さんは駄菓子屋のあり方に見出します。移動式の2トントラックに資材を積み込んでお寺を訪れ、トラックの両側に縁日を広げて1日お祭りを開くという試みです。昔でいえば、紙芝居屋さんが地域の公園を巡って、その周りに自然と子供達が集まってくる……そんなイメージが近いかもしれません。
トータルプロデュースを務めたのは、ブラザートムさん。リヤカー式駄菓子屋や、ミュージシャンによるライブ、おもちゃ供養などのイベントが行われ、今までに、名古屋、宇都宮、浜松など、全国のさまざまな地域で10回開催されたそう。現在も、開催できるお寺を募っているそうです。
ぼっちぼっちフェスを開催すると、自然とたくさんの子供たちが集まってきます。そうすると、その中には自然と支援を必要としている家庭の子も含まれているんです。そして、子供達がその場を楽しんでくれるだけでなく、「この地域にいる子供達をみんなで守っていかなければ」という空気が流れるといいます。シングルファミリーをそっと応援すること。この取り組みによって、きっと目に見えている以上のつながりが生まれているはずです。

西田さんは、お寺さんから協力を募り、ぼっちぼっちフェスの全国ツアーを実現しようと計画しています。関心のある方は、ぜひご協力ください。

一般社団法人ハートフルファミリー https://www.hf-f.com/

テーマ③ お坊さん講師による健康指導

続いて登壇されたのは、ミズノ株式会社ライフスタイルスポーツ事業部の石元良樹さん。明治39年の創業以来、野球やゴルフなどのスポーツ用品メーカーとして業界をリードしてきた同社ですが、少子高齢化にともないスポーツ人口が減少するなかで、新たな分野への取り組みが課題となっているそうです。
そこで重要になるのが「健康寿命の延伸」というテーマ。スポーツの分野で培った技術を使って、健康寿命をいかに1日でも長くするか、自治体とも連携しつつ取り組んでいるといいます。現在、施設や自治体において、年間200以上の講習を行っているのだそうです。

このメソッドを、市役所などに比べて遥かに多く、また、信頼された存在のあるお寺で行おうというのが、今回の提案です。僧侶のみなさんが講習を受けみずから講師となることで、お寺が地域の健康拠点となって健康寿命の延伸に貢献できるのでは?、という提案がなされました。

様々な健康維持の方法がありますが最も身近で取り組みやすいのが「ウォーキング」。ウォーキングの健康効果のエビデンスは、ミズノと共に研究を進めている、東京都健康長寿医療センターの青栁幸利博士の研究成果に基づくものだそうです。
中強度にあたるうっすら汗ばむ程度の早歩きを1日15分取り入れることが、病気を防ぐうえで最も効果的なウォーキングの方法だといいます。
とにかく運動すれば健康が増進できる、と考えてしまいがちですが、間違った運動はかえって健康を損なってしまうこともあります。そこで、健康寿命を延ばす「正しい歩き方」を学ぶことを提案します。

「ウォーキング指導員講習」
その場でさっそく、11月27日・28日に開催が決まっている旨も告知されました。もう既に申込みされた参加者の方も多いかもしれませんね。ご興味のある方は、下記のURLから申込みしてみてはいかがでしょうか。
https://terakoyagaku.net/id1020/

「お寺は自分と向き合える場だから
自分の体を考える場所にしていきたい」

お寺をそう捉える石元さんのお話からは、一見関わりのないように思えるお寺×スポーツという組み合わせにも、「健康」というキーワードから互いに可能性が見出されることが伝わりました。ミズノさんに限らず、スポーツジム、ストレッチ、ヨガなど、スポーツ関連の企業のみなさんとの新たな可能性が見出せるように思います。僧侶のみなさん自身のスポーツ経験や、ご家族が趣味で取り組んでいることのなかにも、お寺でできることのヒントがあるのではないでしょうか?

【お問い合わせ】

心と体の健康塾、ヘルシーテンプル構想ウォーキング指導者養成講座場づくりの教室シングルファミリー支援”ぼっちぼっちフェス”
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