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お寺のためのクラウドファンディング術 #1 今なぜ、お寺がクラウドファンディングを活用するのか?成功事例から見える3つのこと

日本では2011年にはじめてクラウドファンディングのサービスが始まりましたが、昨今では誰でも使える仕組みとして普及が進んでいます。歴史を遡れば、伽藍や仏像の修復などのために資金を募った「勧進」が、クラウドファンディングの元祖と言われています。
「寺子屋學」では、寺子屋活動や社会貢献的な活動を行なうお寺こそがクラウドファンディングにどんどんチャレンジするべきと考えています。しかし、まだ寺院での実施事例は比較的少なく、「そもそもクラウドファンディングって何?」という方も多いかと思います。そこで、クラウドファンディングプラットフォーマーとしては大手の株式会社CAMPFIREで、数多くのプロジェクトをサポートしてきた菅本香菜さんを執筆者にお迎えして、連載「お寺のためのクラウドファンディング術」をお届けします!

2019.08.16 FRI 11:28
執筆 菅本香菜
PROFILE

菅本香菜(すがもと かな)

旅するおむすび屋 / 株式会社CAMPFIRE LOCAL・FOOD担当

1991年、福岡県北九州市出身。熊本大学卒業後、不動産会社での営業を経て、食べものつき情報誌『くまもと食べる通信』の副編集長として活動。熊本震災後に上京し株式会社CAMPFIREに転職、LOCAL・FOOD担当として全国各地のクラウドファンディングプロジェクトをサポートしながら日本の魅力発信に努める。本業の傍ら2017年5月に、旅するおむすび屋『むすんでひらいて』プロジェクトを立ち上げた。2019年3月に独立。フリーランスとして、食に関わるイベント企画・運営やライター、クラウドファンディングサポート等を手がける。

メディア出演 : NHK「人生デザインU-29」など

みなさま、はじめまして!菅本香菜と申します。
旅するおむすび屋として全国を巡って食の魅力をPRしたり、全国のクラウドファンディングのサポートをしたりしています。
そして、母方の実家がお寺ですのでお寺で生まれ育ちました。

今回はクラウドファンディングのお話しをします。
最近ではお寺でのクラウドファンディングの活用も増えてきました。
私のルーツでもあるお寺に、クラウドファンディングを通して少しでも貢献できるのであればと思い、お寺のクラウドファンディングについて動向を追ったり、実際にプロジェクトをサポートさせていただいたりしてきました。
これから始まる連載では、それらを通して気づいたことをシェアできればと考えています。よろしくお願いします。

そもそもクラウドファンディングって何?という方もいらっしゃると思いますので、簡単に!
クラウドファンディングとは、挑戦したいことに対して必要な資金を、インターネットを通して不特定多数の方から集める仕組みのことです。
支援をしてくださった方には、物やサービスでお返しをします。

※クラウドファンディングにはいくつか種類がありますが、今回は、最もメジャーな仕組み『購入型クラウドファンディング(支援者に物やサービスをお返しする仕組み)』についてお話をします。(注1)

銀行の融資や企業の協賛などの形で資金を1箇所から集めるのではなく、“不特定多数”の方から支援を募るというところがクラウドファンディングのポイント。
それによって以下のような効果が期待できます。

効果1、これから始める挑戦に向けた応援団ができる
クラウドファンディングでは、挑戦に向けての想いに共感してくれた方々が支援してくれます。そのため、クラウドファンディング終了後も長く挑戦を応援してくれる方が多い傾向にあります。

効果2、PRにつながる
クラウドファンディングはインターネット上に挑戦したいことを投稿するので、共感してくれた方がSNSなどで拡散しやすいという特徴があります。
また、『クラウドファンディングのプロジェクトには面白い挑戦が集まっている』ということでメディアの方々も注目しています。クラウドファンディングをキッカケにメディアに取り上げられたという声も多く聞きます。

仕組みについて長くお話しするよりも、実際にプロジェクトをご覧いただく方が分かりやすいと思いますので、ここからはお寺で活用されたクラウドファンディングの成功事例をご紹介します!

①人と地域をつなぐ、お寺の終活センター「ともいき堂」建設へ
https://readyfor.jp/projects/tomoikido
目標金額:1,500,000円
達成金額:3,045,000円
檀信徒だけでなく市民に開かれたお堂「ともいき堂」を建設し、お寺を中心とした終活のコミュニティづくりを行いたいというプロジェクト。目標金額の2倍の金額を集めて話題になりました。

②お寺の地域の新しいかかわり方づくり【みょうけんさんチョコレート工場プロジェクト】
https://www.makuake.com/project/myokenzan/
目標金額:300,000円
達成金額:348,000円
「現代に合ったお寺と地域の新しいかかわり方をつくりたい」という想いから立ち上がったプロジェクト。フェアな原料を使い、誰もが美味しいと笑顔になるようなチョコレートを作る工場をつくり地域の人々と共に運営していくことができれば、地域との新しいつながりを生み出しながら世界を幸せにできると考え、お寺の副住職とその仲間で自らチョコレート作りを行います。

③TEMPLE HOTEL 高山善光寺で、お寺をもっと身近にしたい
https://camp-fire.jp/projects/view/40645
目標金額:1,500,000円
達成金額:1,788,000円
地域と世界に開かれたコミュニティの場をつくるために、宿坊をTEMPLE HOTELとしてリニューアル。お寺の古来からの役割である『生きているうちから自分を見つめ、整え、新しい出会いを得られる場』を後世にも繋いでいくための挑戦となりました。

④静岡市の幻の寺・建穂寺に伝わる400年前の仏像を修復したい!
https://camp-fire.jp/projects/view/8706
目標金額:1,030,000円
達成金額:1,288,000円
明治時代に火災により廃寺となったお寺の仏像を修復するためのプロジェクト。
廃寺となった後も、地域の方々が長い間仏像を守ってきたというストーリーにも共感が集まり、見事に目標金額を達成しました。

以上、数あるお寺関連のクラウドファンディング プロジェクトの中から4つをご紹介しました。
これらの事例をみて「うちの寺には真似できない」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんなことはありません。
その理由はご紹介した成功事例から分かるクラウドファンディングの特徴を見てみるとわかります。

■ 成功事例から分かる3つの特徴

1、これまで取り組んできた活動に紐付いている
クラウドファンディングの支援は、まず身近な人から支援が集まることが中心です。身近な人たちが応援してくれている状況を作った上で、クラウドファンディングを始めた方が支援の輪は広がりやすくなります。成功事例には、周りの人たちが「いよいよ本格的に動き出したんですね!応援します!」となってくれるような、事前の準備ができているプロジェクトが多いです。

2、お寺と社会との新しい接点を作ろうとしている
日本人の誰もが知っているお寺。ただ、宗教が身近でなくなった世代が増えた現代、お寺離れも進んでおりお寺が遠い存在に感じる人も少なくないようです。そのような中で、檀信徒でなくても、仏教徒でなくても、お寺と関われる新しい仕掛けを考えているお寺のプロジェクトは、広く社会に共感を得ているようです。

3、SNSをうまく活用している
クラウドファンディングはプロジェクトをインターネット上に投稿するため、SNSとの相性がとても良いです。成功事例を見ると、日頃からSNSを活用しているお寺さんが多く、クラウドファンディングについても定期的に発信していました。

これまでご自坊で取り組んできた活動や温めてきたアイデアがあるならば、すでに身近に応援してくれる人の顔が何人か思い浮かぶかと思います。例え少人数であっても支援者が居てSNSでシェアしてもらえたら、その先にいる人達にも伝わります。社会課題や地域課題に紐づく企画であれば、共感はされやすい傾向にあります。お寺とクラウドファンディングは、意外に相性が良いのです。

いかがでしょうか?
クラウドファンディングについて、少しイメージをつかんでご理解いただけたのであれば幸いです。

“宗教離れ”や“お寺離れ”という言葉を聞くようになって久しいですが、“コミュニティ”や“地域貢献”と言った、お寺が本来持っていた機能を改めて見直すような言葉が注目されている現代。きっと、今こそお寺や仏教と関わるきっかけを“今らしく”デザインしていくべきなのではないかと考えています。
そのひとつの手段としてクラウドファンディングという手法を引き続きお伝えしていきます。

次回以降、より細かくクラウドファンディングの始め方・広め方等まとめていきますのでどうぞお付き合いください。

※注1 クラウドファンディングの4つの仕組みについて

・購入型クラウドファンディング
支援者に、物やサービスなどをお返しする仕組み。

・寄付型クラウドファンディング
支援者に、お返しを準備する必要がない仕組み。
※非営利活動を行う団体が挑戦できる仕組みです。

・融資投資型クラウドファンディング
支援者に、事業の収益を分配する仕組み。

・株式型クラウドファンディング
支援者に、未公開株を提供する仕組み。

記事ラインナップ

#1 なぜ、今お寺がクラウドファンディングなのか?成功事例から見える3つのこと(本記事)
#2 クラウドファンディング挑戦僧侶に聞く、ぶっちゃけ大変だったこと
#3 クラウドファンディング実践編、プロジェクトの始め方
#4 クラウドファンディング実践編、プロジェクトの広め方
#5 クラウドファンディング実践編、プロジェクト終了後の動き方

※ タイトルは変更となる場合があります

PROFILE

菅本香菜(すがもと かな)

旅するおむすび屋 / 株式会社CAMPFIRE LOCAL・FOOD担当

1991年、福岡県北九州市出身。熊本大学卒業後、不動産会社での営業を経て、食べものつき情報誌『くまもと食べる通信』の副編集長として活動。熊本震災後に上京し株式会社CAMPFIREに転職、LOCAL・FOOD担当として全国各地のクラウドファンディングプロジェクトをサポートしながら日本の魅力発信に努める。本業の傍ら2017年5月に、旅するおむすび屋『むすんでひらいて』プロジェクトを立ち上げた。2019年3月に独立。フリーランスとして、食に関わるイベント企画・運営やライター、クラウドファンディングサポート等を手がける。

メディア出演 : NHK「人生デザインU-29」など

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