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場づくりを成功させるための5つの鍵 #1 なぜわたしは場をつくるのか

2018.09.14 FRI 10:49
執筆 舟之川聖子
PROFILE

舟之川聖子(ふなのかわ せいこ)

場の設計者・守人・相談員

滋賀県生まれ。東京在住。関係や交流を大切にする場と、場をつくりたい人をサポートしている。 2011年より場づくりを学び、ワークショップデザインやファシリテーションのプログラム開発、講座講師、ブッククラブや百人一首のコミュニティ運営に携わる。舞台や展覧会の鑑賞対話会、映画上映会、オンライン読書会、読み聞かせ、一箱古本市、ポッドキャストなどの活動を通して、多種多様な場の可能性を日々探求中。
http://hitotobi.strikingly.com/

わたしが「場」という言葉、概念に出会ったのが8年前。自分自身の生き方の変更を迫られる中で、地域で対話の場をつくりはじめたのがきっかけです。難しさも喜びも経験しながら、人が大切にされる、可能性がひらかれる、この世になかったすてきなものが人と人との関係から生まれる…そんな場の存在に希望を感じ続けています。

前回のイントロダクションでは、場づくりでもっとも大切なのは、人を圧倒する力ではなく、場と場に集う人々を守ろうとする意識で、その意識を持って場をつくる人のことを「守人(もりびと)」と呼んでいることをお伝えしました。守人は、場に集う一人ひとりがどうしたら楽しく居心地よく自分らしくいられ、来てよかったと満足してもらえるかを考え抜く人です。これからの連載では、守人が場づくりをするにあたって身につけるべき技術を「5つの鍵」としてご紹介していきます。

寺子屋活動に疲れる?!

さて、寺子屋活動という、社会や地域に貢献する活動をはじめてみて、最初は意気揚々としていたのに、活動するにつれてなぜか疲れを感じてくる…、という事態に直面している方が、皆さんの中にもおられるかもしれません。

例えばですが、

・定期開催の講座やイベントの募集をかけ、宣伝を繰り返すのがしんどい
・新しい「ネタ」を探すのに疲れる
・こんなことをやってほしいという要望に応えるのに疲れる
・クレームやトラブルへの対応に疲れる

などなど、思い当たる方がいらっしゃるのではないでしょうか。

実はこの疲れ、継続的な場をつくっていると必ずと言っていいほどやってくるものです。

これは、場づくりの技術1つめの鍵である「なぜわたしは場をつくるのか」を考える必要がある時期に来ていますよ、というお知らせです。

心に聴いてみる、6つの問い

ここで5分ほど心を静かにして、次の問いに対する自分なりの答えを思い巡らせてみましょう。

問い1:わたしは何者で
問い2:どんな経緯やきっかけから
問い3:なんのために場をつくっているのか

さらに

問い4:わたしはどんな人に来てほしくて
問い5:何をする場をひらいていて
問い6:集った人と何を分かち合いたいのか

いかがですか?
浮かんだ言葉があれば書き留めておきましょう。

これら「なぜわたしは場をつくるのか」を分解した6つの問いは、継続的な場を動かす力に最も大きな影響を与えるもの、いわば場づくりの核です。

「わたし」を主語に考え抜く

お寺という公共性の高い場所であっても、実際の場を動かしているのは一人の個人です。「わたし」を主語に考えましょう。先に出やすいのが、「来てくれる人(参加者)にとってこのお寺は」という視点であり主語で、それはそれでとても大切なのですが、活動をふりかえるときには、まず自分の中心から参加者へ向かう矢印で考える習慣もつけていきます。

共同主催者とチームで運営していくときも、メンバーそれぞれの「わたしはなぜ場をつくるのか」をふりかえり、全員で共有をし、そして「わたしたちは」をあらためて考えていきます。

自分自身が、「なんのための・だれのための場をつくっているのか」を明確にしておくと、たとえ地域の自治会など、外部からの要請がきっかけで始める場づくりにおいても、人からの様々な要望が持ち込まれて対応しきれない、評価に翻弄されて疲弊するということが減ります。また、場で不測の事態や人間関係や金銭などが絡むトラブルが生じたときに、決断のための拠り所がないと、行き当たりばったりで場に不安感や不信感も芽生えてしまいますが、なぜ自分が守人の役割を引き受け、この場をつくりたいのかを考え抜いていることにより、トラブルが起きても自信を持って、場を信頼した対応ができます。

ふりかえって土台を立て直す

「なぜ守人である自分が、この場を作りたいのか?」を構成する6つの問い
とはつまり、物事を「企画」するときの土台の部分です。企画というと、「どんなコンテンツをどう魅力的なものにするか」の「やること」のみに目が向きがちですが、その前にこの6つがあります。これらで土台をつくっておき、その上に具体的な「内容」「運営」「宣伝」などの要素を積んでいくと安定します。この企画を立て直すと、今、このお寺にとってやるべきこと、選択すべきことが自ずとわかり、工夫したり、発展させようとするモチベーションが湧きます。

コンテンツの魅力や目新しさ、見た目の美しさに人が集まるのは最初だけで、その後も「また行きたい」と参加者が感じるには、守人がどんな思いで場をひらいているか、場を通してどんな大切なものを人と分かち合おうとしているかが伝わり、心が動いたときです。ぜひ折に触れ、語ったり、発信していかれるとよいでしょう。

活動のフェーズは変化しても、「なぜ守人である自分が、この場をつくりたいのか?」の本質は、自分の生い立ちや原体験と深く結びついていることが多いので、そうそう変わることはありません。問われることではじめて出てくる思いもあるので、可能であれば利害関係のない、傾聴のスキルを持っている方などに聴いてもらいましょう。

同じ寺子屋活動であっても、あなただけの動機が必ずあります。場をつくるとは、「機会」と「関係」を自分のごく個人的な動機からつくることを通して、あなたの信じる世界を描くことなのです。活動をしていて疲れたり、迷ったりしたときはいつもこの「わたしはなぜ場をつくるのか」に立ち戻って、過去の自分が紡いだ言葉から力をもらいましょう。

今回の鍵が、皆さんの日々の寺子屋活動の参考になれば幸いです。

記事ラインナップ

#1 なぜわたしは場をつくるのか(本記事)
#2 交流とつながりは場の設計が肝心
#3 また行きたい!と思える場をつくるには
#4 分かち合うための表現を鍛えよう
#5 安心、安全な場のために知っておきたいリスクの話

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