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お寺スペース・リノベーション #0 お寺の「スペース」に関する課題を解決する 連載が始まります

居心地の良いお寺、また行きたくなるお寺を、「スペース」の改善・刷新・修復という観点で考えていくのが、「お寺スペース・リノベーション」の連載です。今回は、お寺のスペース全体を見回し、どのような課題がお寺に存在しているのかを探っていきます。

2018.05.08 TUE 10:00
構成 島田ゆかり

今回、お寺スペース・リノベーションの連載記事の作成にあたり、全国のお坊さんの皆さんにお寺のスペースに関するアンケートにご協力いただきました。この結果から見えてきたスペースの課題は大きく分けて3つ。「古い」こと、「広い」こと、「さまざまな人が集うこと。以下、アンケートの結果をご覧ください。
*寺子屋ブッダがインターネットで実施。回答数101

「古い」

築50年以上(100年以上含む)と回答された方が75.2%。そのうち、36.6%は築100年以上。また、建築方式は実に75.2%が木造と答えられました。

Q.本堂の築年数を教えてください

Q.ご自坊の建築方式を教えてください

お寺は一般住宅と比べると圧倒的に古い建築物であるため、快適性や安全性に課題のあるケースがく見られます。特に100年以上前の木造建築の場合、漏電の心配や地震対策、防犯対策など安全面で不安があるケースが多いです。

「広い」

境内の広さが500坪以上と回答され方は62.3%。そのうち、19.8%は2000坪以上。本堂は7間以上が60.4%。そのうち10間以上は15.8%。客殿庫裡は50畳以上が52.5%と過半数を占めました。そのうち100畳以上は19.8%。かなりの広さがあることがわかります。

Q.境内の広さはどれくらいですか

Q.本堂の広さはどれくらいですか

Q.客殿庫裡の広さはどれくらいですか

広いがゆえの課題としては、光熱費が高いこと、清掃や設備の手入れの手間、夜間の防犯対策などがあげられます。また、災害時に避難所となる可能性もあるため、備蓄に対する準備も必要となります。

「さまざまな人が集う」

また、今後、一般の方との交流を増やしていきたいと回答した方が91.1%。すでに一般向けの講座やイベントを実施したことがあると回答した方が73.3%にものぼり、檀信徒以外の方との交流が要視されていることがわかりました。

実施されている一般向けの主なイベントは以下のとおり。

子ども達からお年寄りまで、幅広い年齢層の方が寺子屋活動を目的にお寺に訪れていることが分かる結果となりました。

訪問者の高齢化により、本堂に椅子席を準備するお寺が一般的となっていますが、これからはスロープや手すりの設置、空調設備の充実などの配慮も求めらます。

なお、「現在、ご自坊で課題に感じられていることは何ですか?」という質問には、以下のような回答が寄せられました。

課題に対するソリューション

アンケートの結果から分類した課題を元に、「お寺スペース・リノベーション」では以下のテーマでコンテンツを発信していきます。

「古い」の課題:安全性、快適性、保全など
「広い」の課題:防犯、防災、空きスペースの利活用、省エネ、掃除など
「人が集う」の課題:ユニバーサルデザイン化、防犯、快適性、演出など

多くの人が集う場となり、寺子屋活動の質を高めていくためにも、スペースのリノベーションは不可欠であるといえるでしょう。

今後の連載をぜひお役立てください。

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