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お寺のためのクラウドファンディング術 #4 クラウドファンディング実践編・プロジェクトをどう広めるか?

2019.09.06 FRI 15:55
執筆 菅本香菜
PROFILE

菅本香菜(すがもと かな)

旅するおむすび屋 / 株式会社CAMPFIRE LOCAL・FOOD担当

1991年、福岡県北九州市出身。熊本大学卒業後、不動産会社での営業を経て、食べものつき情報誌『くまもと食べる通信』の副編集長として活動。熊本震災後に上京し株式会社CAMPFIREに転職、LOCAL・FOOD担当として全国各地のクラウドファンディングプロジェクトをサポートしながら日本の魅力発信に努める。本業の傍ら2017年5月に、旅するおむすび屋『むすんでひらいて』プロジェクトを立ち上げた。2019年3月に独立。フリーランスとして、食に関わるイベント企画・運営やライター、クラウドファンディングサポート等を手がける。

メディア出演 : NHK「人生デザインU-29」など

みなさん、こんにちは。
旅するおむすび屋 兼 クラウドファンディングキュレーターの菅本香菜です。

本連載では「クラウドファンディングって何?」「実際にやってみてどうだった?」「クラウドファンディングの始め方」についてお届けしてきました。

今回は、クラウドファンディングを始めた際の告知方法をお伝えします。

クラウドファンディングで、目標金額に達成しなかった方がよくおっしゃるのは「プロジェクトを投稿したらお金が集まると思っていた」ということ。
クラウドファンディングのプラットフォームはお金が生まれる場所ではなく、あくまでプロジェクトオーナーが声を上げる場であり、パトロンが支援しやすい環境を整えた場です。
そこで立ち上げたプロジェクトをどう広めていくか?は、プロジェクトオーナーがしっかり計画していかなくてはいけません。

プロジェクトの広め方に関しては、プロジェクトの性質やプロジェクトオーナーの得意・不得意によって少し考え方が変わってきます。以下お読みいただきながら、あなたのプロジェクトに合う方法を試してみてください。

広報する前に、まず自身のプロジェクトを客観的に捉えてみましょう。

クラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げる際に、「自分のプロジェクトに支援してくれる人は、どんな気持ちで支援してくれるのか?」を考えてみましょう。大きく2つに分類した際に、「応援したい!」という気持ちで支援されるのか?(リターン目的ではない)、「リターンが欲しい!」という気持ちで支援されるのか?(リターン目的)、どちらが主になるでしょうか?

前者は、地域活性化のためのプロジェクトなど社会貢献を目的としたプロジェクトに多く、後者はファッションやガジェットなどモノづくりを目的としたプロジェクトが多いという特徴があります。(既にファンが多くいるアイドルやアニメのプロジェクトなどは、「応援したい!」&「リターンが欲しい!」どちらの気持ちも大きい支援者が多い特徴があります。)
お寺でのクラウドファンディングは、地域貢献プロジェクトなど前者の「応援したい!」という気持ちでされるものが多いのではないかと思います。

この特徴を捉えた上で、それぞれの最適な告知方法を見ていきましょう。

“応援”の気持ちで支援が多く入るプロジェクトの場合

この場合、プロジェクトオーナーの知り合いから支援の輪が広がっていくことが中心です。そのため、身近な方にどれだけ想いを伝えていけるか?が重要となります。

① SNSで告知をする
クラウドファンディングを開始する前から、「自分が挑戦したいと思っていること(プロジェクト内容)」「クラウドファンディングを立ち上げようと考えていること」などをSNSで発信していきましょう。
クラウドファンディングのプロジェクト制作過程を公開し、「どんなリターンがあると良いと思う?」などSNSで繋がっている方をプロジェクトづくりに巻き込んでいくのもオススメです。
「クラウドファンディング開始が楽しみ!」と思ってくれる方をどれだけ多く増やせるか?が、良いスタートダッシュを切るためには大切です。

クラウドファンディング公開後も効果的にSNSを活用しましょう。
ただ、小まめにクラウドファンディングについて投稿するときに気をつけたいのが、投稿を見る側を疲れさせないようにすること。
「いつも“クラウドファンディング応援して”って投稿ばっかり・・」と押し付けているように思われるのではなく「こんなに頑張ってるなら支援したい!」と思ってもらえるような投稿のレパートリーを多く持っておきましょう。
例えば、「プロジェクトの進捗」「支援してくださった方の声」「リターンの紹介」など、同じクラウドファンディングを紹介するのでも様々な角度から投稿していくイメージです。

② チラシやDMを作成する
「SNSは普段あまり使っていないからクラウドファンディング向いていないかも・・」という方もいらっしゃると思います。
もちろん、クラウドファンディングはネット上に立ち上げますので、SNSとの相性が良いというのはありますが、“身近な人から想いを伝えていく”ことさえできれば、SNSが得意でなくても大丈夫です。
例えば、チラシを作成して知人にお配りしたり地元のお店にチラシを置かせてもらったり。
ハガキやメールでDM(ダイレクトメール)を作成し、住所やアドレスをご存知の方にお送りするのも良いでしょう。
チラシやDMには、クラウドファンディングのURLやQRコードを入れるようにしましょう。QRコードはネットで無料で簡単に作成できます。

③ 地元のメディアにクラウドファンディング開始の旨を伝える
地域貢献を目的にしたプロジェクトは特に、地元の新聞やテレビ等が取り上げてくれることが多いです。
メディア関係の知人がいれば事前にラウドファンディング開始の旨を伝えたり、メディア向けのプレスリリースを作成して各メディアに配信したりしましょう。
プレスリリースの書き方等は、ネットで検索すると沢山出てきますのでここでは割愛します。

“リターンが欲しい”という購買欲求で支援が多く入るプロジェクトの場合

お寺のプロジェクトではあまり無いパターンですので、簡単にご紹介します。
ポイントは、身近な人に声をかけていくことも大切ですが、リターンに関心がありそうな方にプロジェクトが届くよう動くことです。

① SNS等で広告を打つ
クラウドファンディングで販売する商品に関心を持ってくれそうな層に向けて広告を打つと効果がある可能性があります。
プラットフォームで広告を代理で打ってくれることもありますので、自分では難しいという場合は相談してみると良いでしょう。

② 販売予定の商品に関係するメディアにプレスリリースを配信する
メディアにも、様々な分野がありますので、販売予定の商品に相性が良さそうなメディアを中心にプレスリリースを配信しましょう。

クラウドファンディング公開前から告知は始めましょう

購入型クラウドファンディングには、必ず“リターン”と言われるお礼の品が必要です。
リターンには「商品」「体験」「お礼のお手紙・報告書」など、プロジェクトに紐づくようなモノゴトを入れていきましょう。

リターンを決める際に必要なポイントは「支援者がどのような気持ちで支援をするか想像してみる」ということです。
商品開発のためのクラウドファンディングで完成した商品をお返しするのは「こんな商品が完成したら誰よりも早く手に入れたい」という支援者の気持ちに応えるということが分かりやすいと思います。
一方で、社会貢献に関わるプロジェクトなど支援者が「応援したい」という気持ちで支援してくれるプロジェクトは「ロゴ入りTシャツ」などわざわざ商品を作ってお返しするよりも、「写真入りの活動報告書」等の方が、支援したことがどんな風に社会の役に立ったのかが実感できて喜ばれるというケースが多いです。

支援者が本当に喜ぶ“お返し”は何かという視点でリターンを考えてみましょう。

どのプロジェクトにも大切なのが、クラウドファンディング公開前から告知を始めること。どうしてもプロジェクトページ作成にばかり目がいってしまいがちですが、公開前から「クラウドファンディングが始まるらしい」ということを知っているかどうかでスタートダッシュが変わってきます。
前回の記事でもお伝えしましたが、クラウドファンディング開始後24時間以内に目標金額の20%以上の支援を集められたプロジェクトは、最終的にほぼ100%目標を達成しているというデータもあります。(CAMPFIRE調べ)
良いスタートをきれるようしっかり準備しましょう。

以上です。
細かな点もお伝えしましたので長くなりましたが、1番大切なのは「支援者はどういう気持ちで支援をしてくれるか?」を客観的に考えること。そして、その方々にどう想いを伝えていくか?あなたに合う方法を考えてしっかりと発信していくことです。SNSやプレスリリースなど、苦手なことがある場合は、身近に得意な人に協力を求めるのも良いと思います。
クラウドファンディングでお金を支援してもらうだけでなく、クラウドファンディング立ち上げのタイミングからお金だけではない支援をもらうことで、今後一緒に動いてくれる心強いサポーターに出会えるかもしれません。
ぜひご参考になさってください。

記事ラインナップ

#1 なぜ、今お寺がクラウドファンディングなのか?成功事例から見える3つのこと
#2 クラウドファンディング挑戦僧侶に聞く、ぶっちゃけ大変だったこと
#3 クラウドファンディング実践編・プロジェクトの始め方
#4 クラウドファンディング実践編・プロジェクトの広め方(本記事)
#5 クラウドファンディング実践編・プロジェクト終了後の動き方

※ タイトルは変更となる場合があります

PROFILE

菅本香菜(すがもと かな)

旅するおむすび屋 / 株式会社CAMPFIRE LOCAL・FOOD担当

1991年、福岡県北九州市出身。熊本大学卒業後、不動産会社での営業を経て、食べものつき情報誌『くまもと食べる通信』の副編集長として活動。熊本震災後に上京し株式会社CAMPFIREに転職、LOCAL・FOOD担当として全国各地のクラウドファンディングプロジェクトをサポートしながら日本の魅力発信に努める。本業の傍ら2017年5月に、旅するおむすび屋『むすんでひらいて』プロジェクトを立ち上げた。2019年3月に独立。フリーランスとして、食に関わるイベント企画・運営やライター、クラウドファンディングサポート等を手がける。

メディア出演 : NHK「人生デザインU-29」など

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