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場づくりを成功させるための5つの鍵 #2 交流とつながりは場の設計が肝心

2019.07.12 FRI 14:43
執筆 舟之川聖子 構成 増山かおり
PROFILE

舟之川聖子(ふなのかわ せいこ)

鑑賞対話ファシリテーター、場づくりコンサルタント

滋賀県生まれ。東京都在住。一人ひとりとの関係や交流を大切にする場のデザインや場をつくりたい人のサポートをしている。 2011年より場づくりを学び、ワークショップデザインやファシリテーションのプログラム開発、講座講師、ブッククラブや百人一首のコミュニティ運営に携わる。舞台や展覧会の鑑賞対話会、映画上映会、オンライン読書会、読み聞かせ、一箱古本市、ポッドキャストなどの活動を通して、多種多様な場の可能性を日々探求中。
web: http://hitotobi.strikingly.com/
note: https://note.mu/hitotobi
twitter: https://twitter.com/seikofunanok

■ 参加者同士がつながってくれない、どうしたらいい?

今回は、交流とつながりのある場をどのように生み出すか、設計するかについてご紹介します。
ここでの《交流》とは、主に話すことで、「楽しい、うれしい、おもしろい」などの心の動きを感じあうコミュニケーションがある状態を指しています。
また、《つながり》とは、この場をきっかけに出会い、この場をはなれても「個人的に連絡先を交換する、SNSでつながる、会う機会をもつ(誘う)」などの関係性が生まれている状態を指しています。

お寺でイベントやワークショップなどの場づくりをするとき、参加者のあいだに《つながり》が生まれることを期待することが多いと思います。ですが、なかなか思い描いたような地域コミュニティの拠点や居場所になっていない、と感じることもあるでしょう。

《お困りごと》こんなふうに感じたことはありませんか?
・人は集まっていても、個別で来て、個別で帰っていくだけになっている。
・おとなしい、消極的な人が多く、自分から話しかけていかない。
・参加者同士をつなげたいと思うが、やり方がわからない。

「関心が似た人が集まって、楽しい体験を共にすれば、交流やつながりは自然発生的に立ち上がってくるもの」や「積極的な参加者がいればどうにかなる」というイメージをお持ちかもしれませんが、「こういう人に会えてよかった」と参加者が自然に思えるようなつながりの質を生むには、主催者が意図をもって場を設計する必要があります。

「意図」や「設計」は、主催者側のコントロールではなく、参加者の満足度を高め、場の目的を果たすために、場の守人(もりびと)である主催者や講師のお役目として捉えてください。

今回は設計に取り入れたい《4つのポイント》をお伝えします。先に挙げたお困りごとに行き当たったときは、ぜひチェックしてみてください。

1.参加者同士が話す時間をつくる

参加者同士が話をする「交流の時間」をつくりましょう。タイミングはいくつもあります。

・どんな人が来ているかお互いのことがちょっとわかる[自己紹介]
 [呼ばれたい名前、住んでいるまち、きょう楽しみにしていること]の3つは、プライバシーを明かさずに聞けるライトな項目です。《つながりをつくることを意図するオープンな場》では、「どこからきたか」の質問はとても有効です。「わたしも埼玉です」や「福岡?そんな遠くから来ている人もいるのか!」など。休憩時間の会話のきっかけにもなります。安全を確保する必要のある場では、住んでいるまちは言わなくてもOKとしてもいいでしょう。

・個人の体験をみんなで分かち合う [グループシェアリング]
 一人でする作業のあとは、やってみた感想を2〜3人の小さなグループでシェア。体験の共有は交流の要であり、つながりにもっともよい影響をもたらします。同じ作業を複数人でやるのもよいでしょう。

・話題やテーマを設定する [フリートーク]
 まだお互いのことがよくわからず関係性ができていないときには、「自由に話してください」という呼びかけだけでは話が表面的になったり、人によって話題への知識や関心に差が出て、疎外感を生みます。「今のレクチャーを聴いてどう思った?」「最近うれしかった出来事は?」など、参加者が口にしやすく、場の目的や文脈に沿った話題やテーマを守人が提供しましょう。

・主催者や講師がなるべく介入しない [休憩時間]
 タイトなスケジュールの中でも、なるべく入れたいのが休憩時間。参加者の話を聴いたり、参加者同士が話す体験をしたあとの休憩時間は、自然と会話が生まれます。

・最後にふりかえって一言 [ふりかえり]
 きょうの体験が自分にとってどんなものだったのかを言葉にし、参加者同士で聴き合います。人数が少ない場合は一人一言ずつ全員で聴き合ってもよいですし、多い場合は小グループでシェアしたあと、数人から全体へシェアをしてもらってもよいでしょう。

・終わってからも話していい雰囲気づくり [放課後]
 終了後30分は、残って話している人がいてもいいように会場の手配ができるとベストです。また、「近くにごはんの美味しいカフェがあるので、皆さんで行かれてはどうですか?」など声をかけて、「放課後」を促すのも手です。

[講師ー受講生]のように、[教える→教わる]、[話す→聞く]の一方向のコミュニケーションになりがちな場は、特に意識して、参加者同士の交流を場に組み込んでいきましょう。

2.安心して話せる進行をする

交流の時間がつくれたら、参加者が安心して話せるように気配り、目配りをしながら進行しましょう。

はじめて訪れる場では、多くの人が緊張しています。はじめての参加や一人での参加なら、なおさらです。
・どんな人が来ているか
・どこまで自分を出してよいか
・どう振る舞うのがこの場にふさわしいか
などを探りながら、少しずつ場に馴染み、場での人間関係をつくっていきます。

そこで主催者は、その未知への不安に答えるように、まず冒頭の挨拶で自己開示します。
・自分は何者で
・なぜこの場をひらいたか
・皆さんが帰るときにどんな気持ちになってほしいか、何を持って帰ってもらいたいか
・この場で楽しみにしていること
などを素直な思いと共に話します。これによって参加者は、主催者の人となりを知り、自分は歓迎されている、ここにいてもよいと感じ、不安を低減することができます。

さらに主催者が、
・場のルールを設定する(まず聴く、失敗を歓迎する、自分を主語に話す、など)
・一人ひとりの自己紹介や固有の体験のシェアを関心を持って丁寧に聴く
・話しにくそうな人や輪から外れている人はいないか意識する
などの進行や声かけをすることで、参加者は安心を感じます。場のルールの元で、心をひらいたコミュニケーションが起き、「よい体験ができた、来てよかった」と感じられれば、自然と交流した相手と今後もつながりを持ちたいと思い、連絡先を交換するなど、つながろうとする行動を起こしてくれます。

3.また会える仕組みをつくる

1や2で述べたように、個別で連絡先を交換するようなつながりを促すことは、リアル(対面)の場の中だけでなく、場を離れたあとも促すことができます。

例えば、気軽にやりとりできるSNSのグループ機能を使い、「この場に参加したことのあるメンバー」のオンラインコミュニティを主催者側が用意するのも手です。お寺に集う場とは、日常を離れてくる、ある種、非日常なところ。そこから日常に帰ったあとにもアクセスできる場で会えると、よりつながりやすくなります。

オンラインならではの短いやり取りや、普段の投稿の中から、その人のまた別の側面を知ることができ、つながりは生まれやすくなります。このオンラインのコミュニティでは、次回開催のお知らせや、場への感想やアイディアなど、みんなの声を集めることもできます。
オンラインでのやり取りが活発になると、リアルの場で会ったときの交流もまた活発になり、相乗効果を生みます。

人のつながりは、会う回数や、頻度、一緒にいる時間の長さ、会う場の分野などにも影響を受けます。また会える仕組みとして、場自体を単発ではなく、複数回や定例会としてあらかじめ日程を組み込んでいくのもよいでしょう。集まったときに次回の日程を伝えたり、集まったメンバーで調整して次回の日程を決めてもらうと、「次回来る?じゃあわたしも来るね」などのやり取りから参加率も上がり、参加者同士は会う約束もできます。

4.自分のつながりを元に参加者のニーズを考える

参加者同士の交流やつながりを考えるモチベーションが湧かないときや、具体的に何をすればいいかひらめかないときには、主催者自身のつながりに立ち返ってみましょう。「そもそも人が生きていくためには、人とのつながりが必要だ」という思いが核にあれば、参加者同士がつながってほしいという動機が明確になり、より人を惹き付ける場が生まれます。例えば、以下のようなことをふりかえってみましょう。

あなた自身はどんなつながりの中にいますか?
・家族、親友、恋人、友人、知人、隣人、仲間、師...
・家庭、学校、職場、地域、社会...
・血縁、地縁、趣味縁(趣味の場や活動から生まれた縁)、テーマ縁(特定のテーマの場や活動から生まれた縁)...
・オンライン、オフライン...

また、誰とのどんなつながりに、居心地のよさや安心や楽しさを感じますか?どんなつながりに助けられてきましたか?
同じ家に暮らしている、悩み事を相談する、ごはんを食べたりお酒を飲みに行く、一緒に旅行をする、趣味の活動をする、物の貸し借りをする、SNSでつながっている、立ち話をする、挨拶をする......など、一口に「つながり」と言ってもさまざまな濃淡や深度があります。

そこから、あなたがつくる場の対象者や参加者をもう一度見てみましょう。
このまちの誰が、どのような人との出会いやどのような濃さのつながりを求めているでしょうか。もし見えていないなら、勇気を持って直接聴いてみるとよいでしょう。
その人たちにとって、どんなきっかけを提供できるとよいでしょうか。
そして、その場に来る人々との出会いは、あなた自身にとってどのようなつながりになるでしょうか。

場の守人は、人と人とが出会い、参加者が安心して自分を出せる雰囲気をつくり、つながりが生まれるきっかけを提供できる重要な役割を担っています。集い、体験を分かち合い、お互いを知り、心地よい距離感で交流し、あたたかなつながりを感じられる.......参加者にとって、そんな拠点が自分のまちにあったらどんなに素敵なことでしょう。

今回の鍵が、皆さんの日々の場づくりに役立てば幸いです。

記事ラインナップ

#0 introduction
#1 なぜわたしは場をつくるのか
#1.5 自分の「本質」から、場はスタートする
#2 交流とつながりは場の設計が肝心(本記事)
#3 また行きたい!と思える場をつくるには
#4 分かち合うための表現を鍛えよう
#5 安心、安全な場のために知っておきたいリスクの話

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