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お寺スペース・リノベーション #8 備えあれば憂い無し!お寺の防災備蓄

前回は、お寺の地震火災の原因と対策というテーマで、地震時の二次災害の怖さをお伝えいたしました。
大規模な災害が起きてしまった時、避難場所となりうるお寺もあろうかと思います。東日本大震災の際、高台に建てられたお寺が避難場所になったという話も耳にします。

また、被災地から距離のある東京などでは、交通機関が麻痺して帰宅困難者となってしまった人たちの一時待機場所が必要となる課題も浮かび上がりました。

広いスペースを有するお寺では、災害時への備えを考えておくことはとても大事なテーマといえるのではないでしょうか?
そこで今回は「防災備蓄」というテーマを考えてみたいと思います。

2019.02.23 SAT 01:24
構成 遠藤卓也
PROFILE

加藤康克(かとうやすよし)

お寺スペースアドバイザー(電気機器のスペシャリスト)

広瀬電工㈱ 新規事業創出室地域コミュニティー推進部に勤務。広瀬電工㈱(パナソニック代理店)に29年間勤務しており、一般家庭・工場・ビル等の電気に関する、商品提案から工事やお客様の電気の相談を手掛けている。

■ 避難所としてのお寺

まず、災害時に避難場所としてどのような役割を果たすべきか?イメージをもっておく必要があります。収容人数や想定期間によって、備蓄品として必要なものが変わってくるからです。

役割について検討する際に、地域の防災課に相談することで、適切なアドバイスが得られるかと思います。
耐震・耐火の問題からお寺が「指定避難所」に認定される可能性は低いようですが、大災害の際は自主的な避難所として、大きな個人宅やお寺が活用されることがありました。ですから、認定されなかった場合でも、大災害に備えてお寺も多少なりとも避難者を受け入れ可能な備蓄を準備しておくべきでしょう。

発生から3日程度経てば外部からの支援が届き始めると言われています。それまでの間、せめて人の命を守れるような備蓄をまずは考えておけばよいかと存じます。
具体的には乾パンなど最低限の食品、赤ちゃん用のミルク、おむつ、ホッカイロ、水、生理用品など、生活に関わる備蓄が考えられます。
お風呂にはいることは難しいですが、身体を拭けるウェットティッシュがあると便利です。

飲料水について、人間が生命を維持するために必要な水の量は「成人で1日2リットルから2.5リットル」といわれています。3リットルと考えたとしても3日過ごすとなると、一人につき9リットルの水を用意することになります。例えば30人を収容しようとする場合、270リットル。2リットルボトルを135本。6本入りを23箱という計算になります。

また、不特定多数の人々が生活をともにするのですから「マジックパネルBOX」といったようなダンボール製の壁でプライベートを守れるとよいですね。暖房が止まるので、人数分の毛布やアルミシート等も必要です。

■ エネルギーについて

電気に関しては、インバーター型発電機を動かせるようにガソリンなどの燃料が必要です。
携帯電話などを充電するためには、発電機とは別の方法として、水を入れれば発電できる「マグネシウム電池」や、空気に触れると発電する「空気電池」のようなものもあるとよいでしょう。

 

 
お寺に太陽光パネルを取り付けて非常時蓄電することは考えられますが、設置費用はそれなりのものになります。費用の目安としては、太陽光と蓄電池の容量(太陽光5.04KW+蓄電池11.2KWの創蓄プラン)の定価ベースで700万〜(税抜)
費用的に導入が難しい場合、せめて蓄電池を設置して、費用の安い深夜電力を充電しておくという方法があります。パネルが無い分、導入はし易くなります。

住職家族がお寺で生活をしている場合は、「エコキュート」を導入することで緊急時の生活用水を貯めておくことが可能となります。飲料水にはできませんが、トイレなどの生活用水として活用可能です。

災害時、ガスの復旧は電気に比べて遅いと言われています。ガスは管が割れていないか等を確認するまでに時間を要するからです。
オール電化にしておくことで、災害時のエネルギー復旧が早まると言えるでしょう。

日常において、火を使わないことによる火災防止等の効果もありますので、お寺とつながる庫裏にお住まいの場合は「エコキュート」導入によるオール電化という選択肢も検討の価値があるかと存じます。

■ 救助の観点

リアカーを備えているお寺は少なくないかと思います。お年寄りが家から出られなかったり、避難中に負傷した方などを運搬するのにリアカーがあると便利です。一般家庭にはあまり備えていないものです。

また、怪我人や体調の悪い避難者のために救急箱もあると良いでしょう。大人数に対応するようなセットがありますので、常備しておくとよいですね。傷を水洗浄できるように、清潔な水も必要です。その場合はペットボトルの水を使うことになります。
そして、AEDは災害時のみならずお寺には必須の設備かと存じます。

■ まとめ

以上「防災備蓄」という観点から、お寺が避難所となった場合に必要なものを挙げてみました。

お寺の立地や敷地面積、建物の広さなどから、災害時に必要とされる役割が異なってきます。まずは、地域の防災課などに相談をして、役割を決めること。自坊が対応可能な限界を知っておくことも大切です。
そして、対策が整ったら、近隣の檀信徒に周知をおこない、災害時にお寺が避難場所となりうることを知らせましょう。

今回の記事に登場した商品にかかわらず、防災備蓄用品の購入については、お寺スペースアドバイザーが相談にのります。

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