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お寺スペース・リノベーション #5 あなたのお寺も危ない!?お寺の電気火災、原因と対策

2018.11.14 WED 10:11
構成 遠藤卓也
PROFILE

加藤康克(かとうやすよし)

お寺スペースアドバイザー(電気機器のスペシャリスト)

広瀬電工㈱ 新規事業創出室地域コミュニティー推進部に勤務。広瀬電工㈱(パナソニック代理店)に29年間勤務しており、一般家庭・工場・ビル等の電気に関する、商品提案から工事やお客様の電気の相談を手掛けている。

お寺の火災の特徴

2013年、福井県西誓寺で起きた火災では、仏像と過去帳を抱えたご住職の遺体が発見されました。また、同年に発生した愛媛県宝厳寺の火災では本堂が全焼。重要文化財の木造一遍上人立像が焼失。道後温泉近くの観光地であり、観光業者は「街の宝を失った」と肩を落としたそう。

他にも、下記のようなお寺の火災事例があります。

1949年 奈良県法隆寺 国賓壁書消失
2007年 愛知県教蓮寺 本堂全焼
2017年 新潟県福昌寺 本堂・庫裏全焼
2018年 京都府教念寺 庫裏全焼

歴史のあるお寺においては、築にして50年以上の場合も少なくないですが、古い木造建築は延焼しやすく火事の被害が拡大しやすいと言えます。

一般的な火災によくある原因

一般の住宅火災の原因ランキングを見てみましょう。

(出展:総務省消防庁 平成28年度1~12月期指標より)

5位「配線機器」・6位「電灯、電話等の配線」・8位「電気機器」はいわゆる「電気火災」としてまとめることができるかと思います。まとめた場合、火災の原因として「電気火災」は第3位と、非常に多いことがわかります。

例えば7位「放火」は事前に妨げにくい原因ですが、「電気火災」は予防することで防げる火災なのです。

続いて、電気火災の発生しやすい箇所をみてみましょう。

配線
・配線コードの傷み、劣化、寿命末期
・安全基準を適合しない配線コード(PSEマークなし)
・素人配線工事(防水性、絶縁性不良)

配線機器
・配線機器の傷み、劣化、汚れ(トラッキング)、寿命末期
・安全基準を適合しない配線機器(PSEマークなし)
・動作不良(故障)

電気機器
・電気機器の傷み、劣化、寿命末期
・安全基準を適合しない電気機器(PSEマークなし)
・動作不良(故障)

主には、配線コードのいたみや劣化。なかなか交換することがない機器の寿命の問題もあります。またタコ足配線やコンセントにつなげているプラグにホコリがたまる「トラッキング現象」も火災の原因となります。

照明器具などに使われている昔の銅鉄型の安定器は、使い続けていると電源部分が黒く焦げていることがあります。火災につながるケースは少ないかもしれませんが、大きなビル等ではこれが原因で停電に至ることもあります。

上記のような箇所に思い当たる場合は点検、交換を行なうべきと考えます。

こんなお寺は要注意!

実際にとあるお寺を訪問し、危険箇所を探してみました。

危険箇所1:劣化した照明機器のソケット

とてもアンティークな見た目のソケットです。こちらはLEDに交換されていますが、お寺ではこういう古めかしいソケットを未だにみかけます。
ソケットを手で触って交換する際に割れることも想定され、非常に危険な状態です。こういったところから、火災が発生する可能性があります。

危険箇所2:防水加工のない屋外電源線

次はなかなか気づきにくいケースかもしれません。本堂の配線器具が隠れたところでFケーブルというケーブルが屋外なのに露出してステップルで留めているだけの状態です。分岐させる器具が防水式のものになっていません。ここから火災の恐れもあるのですが、雨に濡れたら感電して人命にも関わる事故が発生してもおかしくありません。

危険箇所3:年代もののナイフスイッチ

お寺ではこういうレトロなスイッチをまだ見かけます。今で言うところの簡単なブレーカーですが、スイッチなので簡単に人の手に届くところにあります。もし、お参りの方やお子さんが蓋を開けて触ってしまったら感電の恐れがあります。
また、遮断器を開け締めする時に火花が散ることがあります。これ自体がすぐに火災につながるということではありませんが、徐々に新しいものに変えていくことが最善と考えます。

お寺の電気火災対策としてやるべきこと

(1) 漏電チェック
漏電があった場合は、配線工事・配線機器交換・電気機器交換が必要です。
前述の屋外電気線のような露出が見られた場合は、CD管・PF管で電線を保護の上、ボックスを用いて防水処理をしたほうが良いでしょう

(2) 漏電ブレーカーの動作確認
正常に動作していない場合は、漏電ブレーカーの交換が必要です
設置されていない場合や、前述のヒューズ式ナイフスイッチを設置している場合は、漏電ブレーカーの設置をお勧めします。
 
(3)照明機器の寿命診断
銅鉄式安定機を10年以上使用している場合は、照明機器交換をお勧めします。白熱灯ソケット等の絶縁性能に劣化がみられる場合も、照明機器交換を行いましょう。

上記の点検や機器交換などは、最寄りの電気店に相談すれば行ってもらえます。また、私達お寺スペースアドバイザーもご相談にのります。

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